財団法人 日本心臓血圧振興会

国内学会・研究器への協力

第43回日本小児循環器学会総会・学術集会

(会長:理事 黒澤博身)
開催期間:平成19年7月4日(水)〜6日(金)
会場:京王プラザホテル(新宿区)
主催:(財)日本心臓血圧研究振興会、第43回日本小児循環器学会総会・学術集会
参加者数:2,300名

第43回日本小児循環器学会学術集会は、メインテーマ「子供たちの未来:良質の医療と社会人としての自立:For the Patients」のもとに2007年7月4日から3日間、新宿京王プラザホテルで2,300名の参加者を得て開催されました。
本学術集会に応募した623演題の中から、査読得点が最も高い4題が選ばれ、学術集会1日目の最初にPlenary Sessionで指定討論つきで発表され、大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科稲村昇氏の「無脾症候群における見過ごされてきたリスクファクター:脊柱による肺静脈の圧迫狭窄」が会長賞最優秀演題に選ばれました。会長賞優秀演題3題は名古屋大学小児科加藤太一氏の「骨髄由来細胞の造血幹細胞のマウス実験的肺高血圧への関与」、東京女子医科大学循環器小児科宮川-富田幸子氏の「心外膜原基由来細胞を制御するテネイシンの検討」、千葉大学小児病態学江畑亮太氏の「川崎病血管炎におけるリンパ管新生因子VEGF-Dの関与」でした。これら4つの発表はいずれも世界的水準の研究で、わが国の小児循環器学研究と診療のレベルの高さを明確に示しています。
先天性心疾患の中でも最も治療が難しい左心低形成症候群に対する外科治療分野で名実ともに世界の第一人者であるミシガン大学Bove教授はKonno Memorial Lecture「Long term outcome of hypoplastic left heart syndrome」の中で800名を超える手術治療成績を発表し、80%以上の長期生存を得ているという誠に優れた成績を発表しました。Bove教授の講演は、診断、内科治療、外科治療、術後管理、経過観察という一連の緊密な診療体系が小児心臓病の克服に不可欠であることを改めて示しました。
完全房室ブロックを中心とする房室伝導障害が患児の長期QOLを阻害することから、長年の共同研究をもとにアムステルダム大学Becker教授の招請講演「The atrioventricular conduction system in congenital heart disease. A concept relevant for cardiac surgeons」に続いて、会長講演「子どもたちの未来:刺激伝導防止の実際」が行なわれ、若い心臓外科医の教育に役立つよう、心室中隔欠損症、Fallot四徴症、房室中隔欠損症、完全大血管転位症、修正大血管転位症、単心室など先天性心疾患の全てにわたり術中の刺激伝導障害防止法を詳細に解説し、さらにMeet the Expertsでは先天性心疾患形態学の世界的第一人者London大学Anderson教授が自ら病理標本を手に取り、ビデオカメラの下で複雑心奇形の解剖を詳細に解説しました。これら一連の講演・講習は先天性心疾患の手術における重大な合併症のひとつである完全房室ブロックの防止を目的とした教育プログラムであり、会長講演の3,000例以上の手術経験の中で術中完全房室ブロック発生0という成績が、基礎研究と臨床の連携の重要さを示しています。
複雑心疾患の術後遠隔期に社会的自立を果たせない患児が多い現状を踏まえて、シンポジウムとパネルディスカッションでこの問題を取り上げました。 Fallot四徴症の長期遠隔期の社会的自立は大半で可能になっていますが、Fontan術後など重症複雑心疾患での社会的自立は心機能、不整脈といった患者側の問題点と、周囲からの理解不足などの社会的理由によりいまだ十分でないことが明らかになり、治療法のさらなる進歩と国民の理解が進むことが期待されています。また、看護部門でもシンポジウム「看護師からの発信―子どもたちの自立のために私たちにできること」を行い、医療現場での心理的支援も含めて社会的自立に向けての取り組むべき課題が討議されました。要望課題として「房室結合異常」というkeywordのもと、共通房室弁、房室錯位、単心室、isomerismなど共通の問題点を持つ複雑心疾患を共通の場で検討しました。他の要望課題として先天性心疾患の発生、無脾症・多脾症、川崎病、再生医療、重症心不全の治療、Fallot四徴症が取り上げられ、集中討議がなされました。
成人期の再手術は心理的、身体的、社会的、経済的の全ての面で患者、医療機関とも大きな負担になっています。この問題を討議するためパネルディスカッション「カテーテルインターベンションの近未来」、シンポジウム「先天性心疾患に合併した不整脈の診断と治療」、ファイアーサイドセミナー「カテーテルASD閉鎖術」をおこないました。
会議の最後に、遅々として進まないわが国の心臓・肺移植のなかでも最も進まない小児心臓・肺移植をいかに進めるべきか、公開小児心臓移植シンポジウム「わが国で小児心臓・肺移植をいかに進めるべきか」で熱心に討論していただいた。適応患児のQOL向上と社会的自立のため、医療現場、行政、国民が一致した認識の下、強力に進めるべきであることが再確認されました。
本学術総会を開催するにあたり、多大なるご支援を賜りました関係各位に厚く御礼申し上げます。

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